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昭和31年時刻表で調べた運賃の当時の貨幣価値を調べる [鉄道]

前回はNHK連続テレビ小説「なつぞら」の第14週からなつが言った「直ぐに行く」・・・その言葉が気になり、昭和31年(1956年)11月の時刻表(復刻版)を入手して、当時の東京から帯広までの列車移動を調べましたが、今回は当時の貨幣価値を調べます。(#^.^#)


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最初の疑問である当時の上野駅から帯広駅までの列車移動の所要時間と運賃、そして、飛行機の便数と航空運賃も分かりました。飛行機を使う事で所要時間を1泊短縮できるのですが、そんな航空運賃が当時の貨幣価値で利用する選択肢になったのか、まだ疑問が残ってます。

早速、列車の運賃と航空運賃を比較するのですが、飛行機を使った場合に、千歳空港に到着してから帯広までの移動があり、飛行機と列車の混在は比較が分かりにくく、単純に上野駅から札幌駅の列車運賃と、羽田空港から千歳空港の航空運賃を比較する事にします。


列車の運賃は、早見表から上野から札幌(1430円)+急行料金と青函連絡船を足した合計(2450円)とします。


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対する飛行機の方は、羽田空港-千歳空港の片道航空運賃(11700円)として、列車運賃の4.7755倍なので約5倍です。


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貨幣価値を考える方法は、当時の消費者物価指数と比較する方法で、以前にも使った日銀HP「公表資料・広報活動」の「昭和40年の1万円を、今のお金に換算するとどの位になりますか?」を参照します。


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以前使った際には、平成26年が最新でしたが、対象年数が更新され平成30年までの消費者物価指数が載ってます。さらに以前使った消費者物価指数の数値よりも桁数が小さくなり扱いやすくなってました。


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計算式:消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の平成30年(101.7)÷昭和31年(17.0)=約6倍

昭和31年の1万円は平成30年の消費者物価指数では約6倍なので、約6万円に相当するという計算になります。


列車の運賃(2450円×6倍)が現在の14700円です。航空運賃(11700円×6倍)が現在の70200円になります。列車の運賃(14700円)は、それっぽい金額に見えます。それに対して当時は高かったと想像できる航空運賃(70200円)も、それなりに高い金額に感じます。


現在の列車の乗車券は、上野から札幌(14140円)と偶然にも先の6倍の換算値と近いので驚きますが、実際には、プラス新幹線を使わないと青函トンネルは渡れませんし、一般的な列車の利用を考えると上野から新函館北斗まで新幹線+道内特急(12210円)を加えた合計(26350円)で所要時間は約8時間になります。


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2013年に寝台特急北斗星、B寝台「ソロ」に乗車してます。その時の値段を確認してみると、乗車券(17950円)+特急(2940円)・寝台(6300円)=合計(27190円)


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航空運賃は現在なら早期割引や格安航空がありますが、前日や当日になり飛行機に乗ろうと航空券は通常料金になるので片道航空券(40000円)で考えてみると・・・


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昭和31年の当時の航空運賃が列車の約5倍に対して、現在は約1.5倍(航空券40000円÷列車26350円)という事になりますが、普段の飛行機の利用を考えると、実際には早割りで予約するので片道航空券(15000円~20000円)と、列車より飛行機の方が安いというのが現在の状況じゃないでしょうか?


先ほどの日銀HPにも「財(モノ)やサービスの種類によって、価格の上昇率や当時との価値が異なります」とありますが、確かに時代とともに大きく価値が変化してますね。


もう少し当時の貨幣価値を想像したく、北海道立図書館に昭和31年時刻表(復刻版)を閲覧したついでに、昭和31年4月の北海道新聞の紙面をマイクロフィルムの閲覧サービスを利用して調べてみました。


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初めて利用するマイクロフイルムでの閲覧サービスで、昭和31年の北海道新聞を閲覧したい旨を伝えると、「何月分を希望ですか」と聞かれます。そこまで考えてなかったで、とっさに出た返答が「4月」です。(#^.^#)


係の方が該当のマイクロフイルムを出してくれて、簡単に機械の操作方法を教えてくれたあとは勝手に操作して閲覧できるので、ゆっくりと気軽に閲覧できました。閲覧は無料ですが、気になる紙面はコピーボタンを押すと簡単にA3コピー(1枚10円)が可能す。気になる紙面は多数あったのですが今回は11枚コピーしました。


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紙面は拡大縮小回転が可能ですが、ここでも老眼の私はハズキルーペを忘れた事を後悔します。(;´д`)トホホ


この年の紙面を見ると、連日のように一面は全国の炭鉱争議一色で、14日間の長期のストが実施されたようです。


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映画の宣伝も紙面には多いのですが、日本映画は知らない映画ばかりでしたが、洋画はジェムス・ディーンの「理由なき反抗」が載ってます。(#^.^#)


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BSプレミアムで古い映画を放送しているので以前に見た気もしますが、1955年製作・公開のアメリカ映画ですから、まさしく紙面上のタイムスリップです。


宝くじが一等100万円、6等が30円とあるので、1枚30円の宝くじなのか・・・


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宝くじ公式サイトに歴史が載ってたので調べてみると、昭和31年(1956年)の宝くじ年間販売実績額(37億円)、見本に載ってるのは1枚100円です。という事は、1枚の値段(100円)以下が末等の当選金額(30円)だったんですね。


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新聞広告を見ると「1等が豪華200万円の宝くじが1枚100円」の宣伝も載ってますが、ちなみに先日の令和最初「レインボーくじ」は1枚100円で1等が1000万円です。消費者物価指数の約6倍からすると豪華200万円の賞金は、現在の1等の1000万円。いい感じの金額ですが、当時から変わらない1枚100円は当時としては相当に高い気がしますね。


もう少し身近な商品が、新聞広告のカメラ「リコー35デラックス」が17500円です。羽田空港-千歳空港の片道航空運賃(11700円)より少し高い値段です。


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当時と現在の価値を比較するのは難しいのですが、今なら色んなカメラが存在するので、コンパクトカメラを想像するなら12800円と昔と変わらないって話になりますが、一眼レフなら8万、14万・・・多分、今の一眼レフカメラの8万前後を買う感覚じゃないかと想像します。


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ナショナルの洗濯機が21800円の広告です。羽田空港-千歳空港を往復(23400円)乗ると「故障のない自動タイムスイッチ」付き洗濯機が買える値段です。(#^.^#)


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こちらも洗濯機で21800円と同じ値段もありますが、今なら当然、全自動洗濯機で5万、8万、10万、ドラム式洗濯機なら22万、26万と、こちらも品物の価値を想像するのは、その人によって違いそうでが、当時の「故障のない自動タイムスイッチ」付き洗濯機は、ドラム式洗濯機(22万、26万)じゃないのかな?


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当時の食堂車のメニューが時刻表に載ってましたが、コーヒー(50円)です。


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こちらも現在の何と比べるかですが、コンビニやマックのコーヒー(100円)、スタバのコーヒーがショート(300円程)、我が家の近所のコーヒーショップのブレンドコーヒー(400円)・・・やはり近所のコーヒーショップ(400円)が現在の価格かと思います。


この当時の食堂車の朝食がメニューを見ると、和食(120円)、洋食(150円)です。ちなみに先ほどの寝台特急北斗星で食べた朝食の写真がブログにありました。この時は和洋食共に 1600円です。


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時刻表の旅館(ホテル)の広告に出ている価格も当時の貨幣価値を感じる上で比較出来るかと思いますが、私は「全室、テレビ、ラジオ、電話あり」の宣伝が時代を感じました。


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こんな感じで「財(モノ)やサービスの種類によって、価格の上昇率や当時との価値が異なります」のが感じれます。


調べていると(国家公務員の初任給の変遷-人事院)、昭和26年の国家公務員(6級職 )の大卒程度初任給(6500円)、平成27年国家公務員の総合職大卒初任給(181200円)とありました。


この事から列車の運賃(2450円)は初任給(6500円)の約0.38、航空運賃(11700円)は初任給の約1.8倍。


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現在に換算すると、列車の運賃が総合職大卒初任給(181200円×0.38)=68856円、航空運賃(181200円×1.8)=68856円=326160円。こう考えると、いくら急ぎたいと思っても、なつと兄・咲太郎の二人で航空運賃約65万円は移動の選択肢には考えれませんよね。


以上、NHK連続テレビ小説「なつぞら」の第14週「なつよ、十勝さ戻って来い」で、なつが柴田家の母と電話で発した一言が気になり、調べ始めた当時の時刻表と貨幣価値でした。私の感想はC62形蒸気機関車の3重連を見たかったを調査の結論とします。(#^.^#)



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